2050年の成田

空港圏未来予想図by佐藤ひとし

「協働」という考え方

 行政・住民・企業の連携

 行政サービスの維持が難しくなっている自治体では、「協働」という言葉がよく使われます。予算・人手不足で現行レベルの行政サービスができなくなる分、住民に参加・協力してもらえる枠組みを作ろうという発想です。道路インフラの維持や補修、医療・介護・福祉・教育といった基礎的な分野はもちろん、ごみの収集・処理など身近な課題への対応、さらに観光振興など。協働が可能なことはたくさんあります。

 

 「自分にできることを、無理しないで、できる範囲で、少しずつ」

 

 そうした市民の協力者が増えれば増えるほど、行政側の負担は軽くなるでしょう。でも、住民の多くに「協働」を納得してもらうのは、かなり大変そうです。地域コミュニティーも崩壊しています。ぼくが10年前から暮らしている成田山新勝寺の表参道一帯も、もとからの住民は少なくなっています。高齢化も進んでいます。

 

 それでも雪が降ればみんなで雪かきをするし、毎月のようにお祭りやイベントがあります。そこで利益を得る商店や従業員だけでなく、行きつけのお店や顔なじみができた人たちも、街のにぎわいを大切に思い、協力しています。かなり珍しい地域です。

 

楽しいこと、無理しないこと、喜びがあり、ついでにお金も儲かる。表参道の地域社会をみていると、「協働」を進めるには、そうした要素が重要になると考えています。そのカギを握るのは、「協働」をイベント化して、楽しさを演出し、従業員を雇う企業の存在です。行政と住民だけでなく、企業も加わらないと「協働」は立ち往かないとみています。