2050年の成田

空港圏未来予想図by佐藤ひとし

成田空港市 空港と地域はひとつ

 ちょいと予定より話を先に進めて「成田空港市」について書きます。ことは政治的な問題なので、30年後に本当に実現しているのか、ちょっと自信はないのです。でも、いくつかの「現在の困難」を乗り越えるには、考えたほうが良い、いえ、考えなければならない選択肢です。

 まず、少子高齢化の影響です。日本は世界で高齢化が一番進んでいます。あらたに生まれる子どもも年間100万人を切っています。いまの社会は働ける世代が払うお金で、お年寄りや子どもを養っています。この仕組みのままだと、地域は立ち行かなくなります。

 「なんでそんなになるまで放置したんだ」と批判するのは簡単です。でも、それより大事なのは「代替案」を考えることです。

 

 「行政にお任せ」ですむでしょうか? 無理です。働く人が少なくなり、納税額が減ります。収入が減るのです。一方、養うべきお年寄りはまだまだ多いので、支払いは増えます。役場で働く人さえ少なくなります。仕事は増えても働き手はいない。何かしようと思っても、お金がない。そんな状態が近づいているのです。一般会計は600億円規模ですから、収入の6分の1くらいです。とても恵まれています。日本一恵まれれているのかもしれません。

 それでも、少子高齢化の影響で、最近、人口が減り始めました。富里、芝山、多古、横芝光などの周辺自治体は、ずっと人口が減り続けています。成田空港が拡張される10年後には、現在4万3000人の空港従業員が7万人は必要になるといわれています。でも働き手がいなければ、空港は機能しません。

 ロボットや人工知能、外国の人たち、働きたいというお年寄りや女性。そうしたパワーで穴埋めするにしても、空港だけでは無理です。空港を取り囲む地域社会が、そうしたパワーを育てなければならなくなっています。いくら空港を拡げても、そこで働く人がいなければ、空港は機能を発揮できないのです。「空港と地域」は一体なのです。それがひとつ目の前提です。

 

脅すようなことばかりで申し訳ありませんが、今日はここまでにします。